目次
2021年度試験から、「センター試験」から「共通テスト」に切り替わりました。
「平成30年度プレテスト(試行調査)」とは
共通テストにおける問題作成の方向性を示すため、大学入試センターが作成したもの。
今回はその「平成30年度プレテスト」をやってみよう。
しんぞう先生
かんぞうくん
第1問は「生物と遺伝子」
第2問は「生物の体内環境の維持」
第3問は「生物の多様性と生態系」
かんぞうくん
しんぞう先生
かんぞうくん
しんぞう先生
第1問「生物と遺伝子」
A前文(顕微鏡観察についての会話文について)
アキラとカオルは,次の図 1 のように,オオカナダモの葉を光学顕微鏡で観察
し,それぞれスケッチをしたところ,下の図 2 のようになった。

アキラ
スケッチ(図2 )を見ると,オオカナダモの葉緑体の大きさは,以前に授業で見たイシクラゲ(シアノバクテリアの一種)の細胞と同じくらいだ。 実際に観察すると,授業で習った(a) 共生説にも納得がいくね。
カオル
ちょっと,君のを見せてよ。おや,君の見ている細胞は,私が見ているのよりも少し小さいようだなあ。私のも見てごらんよ。
アキラ
どれどれ,本当だ。同じ大きさの葉を,葉の表側を上にして,同じような場所を同じ倍率で観察しているのに,細胞の大きさはだいぶ違うみたいだなあ。
カオル
調節ねじ(微動ねじ)を回して,対物レンズとプレパラートの間の距離を 広げていくと,最初は小さい細胞が見えて,その次は大きい細胞が見えるよ。その後は何も見えないね。
アキラ
そうだね。それに調節ねじを同じ速さで回していると,大きい細胞が見えている時間の方が長いね。
カオル
そうか,(b) 観察した部分のオオカナダモの葉は2層の細胞でできているんだ。ツバキやアサガオの葉とはだいぶ違うな。
アキラ
アサガオといえば,小学生のときに,葉をエタノールで脱色してヨウ素液で染める実験をしたね。
カオル
日光に当てた葉でデンプンがつくられることを確かめた実験のことだね。
アキラ
(c) デンプンがつくられるには,光以外の条件も必要なのかな。
カオル
オオカナダモで実験してみようよ。
A問 1(細胞内共生説について)
太字(a)について,植物の葉緑体に関する次の記述a〜dのうち,共生説の根拠となる記述の組合せとして最も適当なものを,下の①〜⑥のうちから一つ選べ。
a 独自のDNA が存在する。
b ミトコンドリアに比べてかなり大きい。
c 細胞内で移動する。
d 細胞の分裂とは独立した分裂によって増殖する。
① a,b ② a,c ③ a,d ④ b,c ⑤ b,d ⑥ c,d
問1の解答 ③ 配点 3点
しんぞう先生
かんぞうくん
しんぞう先生
A問 2(顕微鏡を使って葉の観察)
太字(b)について,二人の会話と図2をもとに,葉の横断面(次の図3中の P–Q で切ったときの断面)の一部を模式的に示した図として最も適当なものを,下の①〜⑥のうちから一つ選べ。ただし,いずれの図も,上側を葉の表側とし,□はその位置の細胞の形と大きさとを示している。

問2の解答 ① 配点 3点
かんぞうくん
しんぞう先生
かんぞうくん
しんぞう先生
かんぞうくん
A問 3(光合成の3つの条件について)
太字(c)について,葉におけるデンプン合成には,光以外に,細胞の代謝と二酸化炭素がそれぞれ必要であることを,オオカナダモで確かめたい。そこで,次の処理I〜IIIについて,下の表 1 の植物体 A 〜 H を用いて,デンプン合成を調べる実験を考えた。このとき,調べるべき植物体の組合せとして最も適当なものを,下の①〜⑨のうちから一つ選べ。
処理I : 温度を下げて細胞の代謝を低下させる。
処理II : 水中の二酸化炭素濃度を下げる。
処理III : 葉に当たる日光を遮断する。

① A,B,C ② A,B,E ③ A,C,E ④ A,D,F
⑤ A,D,G ⑥ A,F,G ⑦ D,F,H ⑧ D,G,H
⑨ F,G,H
問3の解答 ③ 配点 4点
かんぞうくん
しんぞう先生
かんぞうくん
かんぞうくん
しんぞう先生
かんぞうくん
しんぞう先生
B前文(ゲノムと遺伝子について)
近年,(d) 様々な生物のゲノムが解読されている。ゲノム内には,遺伝子としてはたらく部分と,遺伝子としてはたらかない部分とがある。遺伝子としてはたらく部分では,(e) その遺伝情報に基づいてタンパク質が合成される。
B問 4(ゲノムに関する記述の正誤問題)
太字(d)に関連する記述として最も適当なものを,次の①〜⑤のうちから一つ選べ。
① 個人のゲノムを調べれば,その人の特定の病気へのかかりやすさを予想できる。
② 個人のゲノムを調べれば,その人がこれまでに食中毒にかかった回数が分かる。
③ 生物の種類ごとに,ゲノムの大きさは異なるが,遺伝子の総数は同じである。
④ 生物の種類ごとに,遺伝子の総数は異なるが,ゲノムの大きさは同じである。
⑤ 植物の光合成速度は,環境によらず,ゲノムによって決定されている。
問4の解答 ① 配点 3点
かんぞうくん
しんぞう先生
③は遺伝子の総数は生物の種類ごとに違うので✖︎。
④はゲノムの大きさは生物の種類ごとに違うので✖︎。
⑤光や温度の違いで光合成速度は変わるので、ゲノムで指定されてはいません。✖︎。
かんぞうくん
B問 5(コドンとアミノ酸について)
太字(e)に関連して,次の文章中の(ア)・(イ)に入る数値として最も適当なものを,下の①〜⑦のうちからそれぞれ一つずつ選べ。ただし,同じものを繰り返し選んでもよい。
DNA の塩基配列は,RNA に転写され,塩基三つの並びが一つのアミノ 酸を指定する。例えば,トリプトファンとセリンというアミノ酸は,次の表 2 の塩基三つの並びによって指定される。任意の塩基三つの並びがトリプトファンを指定する確率は(ア)分の 1 であり,セリンを指定する確率はトリプトファンを指定する確率の(イ)倍と推定される。

① 4 ② 6 ③ 8 ④ 16 ⑤ 20 ⑥ 32 ⑦ 64
問5の解答 ア・・・⑦ イ・・・② 配点 各2点
かんぞうくん
しんぞう先生
かんぞうくん
しんぞう先生
かんぞうくん
しんぞう先生
第2問「生物の体内環境の維持」
A前文(肝臓と体内環境の維持の関係について)
肝臓には大量の血液が流入する。肝臓は,流入してきた血液中に含まれる様々な物質を化学反応を通してつくり変えることで,(a) 体内環境の維持を担っている。次の図1 はヒトの腹部の横断面を,下の図2はヒトの肝臓の一部分を拡大したものを,それぞれ模式的に表したものである。
A問1(図の中で肝臓はどれでしょう?)
図1中のア〜カのうち,肝臓を示すものはどれか。最も適当なものを,次の①〜⑥ のうちから一つ選べ。
① ア ② イ ③ ウ ④ エ ⑤ オ ⑥ カ

問1の解答 ⑤ 配点 3点
かんぞうくん
しんぞう先生
A問 2(肝細胞と3つの管について)
図 2 についての記述として適当なものを,次の①〜⑥のうちから二つ選べ。ただし,解答の順序は問わない。なお,図2の管Bには酸素を多く含む血液が流れている。

① 血液は,管Aから管Dの方向に流れている。
② 血液は,管Dから管Bの方向に流れている。
③ 管Aには,消化管からの血液が流れている。
④ 管Cから流れてきた液体は,肝細胞の隙間に拡散する。
⑤ 管Bは,肝静脈である。
⑥ 管Dは,肝門脈である。
問2の解答 ①と③ 配点 各2点
しんぞう先生
ということは、管Aは小腸などの消化器官から吸収した栄養たっぷりの血液が流れる「肝門脈」だ!
かんぞうくん
しんぞう先生
かんぞうくん
A問 3(体内環境を維持するための肝臓のはたらき)
太字(a)について,次の記述a〜dのうち,ヒトの肝臓の機能についての記述の組合せとして最も適当なものを,下の①〜⑥のうちから一つ選べ。
a タンパク質を合成し,血しょう中に放出する。
b 胆汁を貯蔵し,十二指腸に放出する。
c 尿素を分解し,アンモニアとして排出する。
d 発熱源となり,体温の保持に関わる。
① a , b ② a , c ③ a , d ④ b , c ⑤ b , d ⑥ c , d
問3の解答 ③ 配点 3点
かんぞうくん
しんぞう先生
かんぞうくん
しんぞう先生
だからこの解答の正解は③です。でも、タンパク質の名前がわからないです。
かんぞうくん
しんぞう先生
B前文(インスリンと血清などについての会話)
アスカとシンジは,病院の待合室で◯の投与法について議論した。
アスカ
◯は錠剤みたいに口から飲むものが多いけど,考えてみると,湿布や目◯のように表面から直接だったり,注射だったり,色々な投与法があるわよね。
シンジ
そうだね。なぜ,筋肉痛の◯は皮膚に塗るだけで効くのかな。
アスカ
例えば,湿布にもよく入っているインドメタシン製剤は,脂溶性にしているから皮膚を通して患部の細胞の中まで浸透するのよ。
シンジ
糖尿病の◯として使う(b)インスリンは注射だね。
アスカ
そうね。重い糖尿病では,毎日何度も注射しないといけないという話ね。インスリンはタンパク質の一種だから,口から飲むと(キ)からなんですって。
シンジ
そうそう,ハブに咬まれたときに使う血清も注射だよね。
アスカ
そうね。その血清は,ハブ毒素に対する抗体を含んでいるから,毒素に結合して毒の作用を打ち消すのよね。
シンジ
じゃあ,毒素の作用を完全に打ち消すためには,(c)日をおいてもう一度血清を注射した方がいいのかなあ。
アスカ
あれっ,血清を二度注射すると,血清に対する強いアレルギー反応が起こるんじゃないかな。
B問 4(インスリンのはたらき)
太字(b)についての記述として最も適当なものを,次の①〜⑤のうちから一つ選べ。
① 薬として開発されたタンパク質で,本来はヒトの体内に存在しない。
② 肝臓ではたらく酵素で,グルコースからグリコーゲンを合成する。
③ 小腸上皮から分泌される消化酵素で,グリコーゲンを分解する。
④ 副腎髄質から分泌されるホルモンで,血糖濃度を増加させる。
⑤ ランゲルハンス島から分泌されるホルモンで,血糖濃度を減少させる。
問4の解答 ⑤ 配点 3点
かんぞうくん
しんぞう先生
かんぞうくん
B問 5(タンパク質の分解について)
上の会話文中の(キ)に入る文として最も適当なものを,次の①〜⑤のうちから一つ選べ。
① 効果が強くなりすぎる
② 抗原抗体反応で無力化されてしまう
③ 分解も吸収もされズに体外に排出されてしまう
④ 吸収に時間がかかりすぎる
⑤ 消化により分解されてしまう
問5の解答 ⑤ 配点 3点
かんぞうくん
B問 6(血清を2回摂取した時について)
太字(c)について,ハブに咬まれた直後に血清を注射した患者に,40 日 後にもう一度血清を注射したと仮定する。このとき,ハブ毒素に対してこの 患者が産生する抗体の量の変化を示すグラフとして最も適当なものを,次の①〜⑥のうちから一つ選べ。

問6の解答 ④ 配点 3点
しんぞう先生
かんぞうくん
しんぞう先生
かんぞうくん
しんぞう先生
かんぞうくん
しんぞう先生
かんぞうくん
第 3 問「生物の多様性と生態系」
A前文(バイオームと有機物について)
地球上におけるバイオームの種類と分布は,年平均気温および年降水量と密接な関係がある。次の図1 は,年平均気温,年降水量,および生産者による単位面積あたりの年有機物生産量の関係を,バイオーム別に示したものである。
生産者によって生産された有機物には窒素が含まれており,窒素は生態系内で閉鎖的な循環を続けている。有機物が土壌に供給されると,窒素は主に土壌微生物のはたらきで無機物となる。(a) 無機物となった窒素は生産者に吸収されて再び有機物となる。

A問 1(バイオームと有機物の生産量の比較)
図1 についての記述として適当なものを,次の①〜⑦のうちから二つ選べ。ただし,解答の順序は問わない。
① 年平均気温がほぼ同じバイオームでは,年降水量が少ないほど有機物の生産量は大きくなる。
② 年平均気温がほぼ同じバイオームでは,年降水量が少ないほど有機物の生産量は小さくなる。
③ 年平均気温がほぼ同じバイオームでは,年降水量と無関係に有機物の生産量は一定となる。
④ ツンドラよりサバンナの方が,有機物の生産量は小さい。
⑤ 針葉樹林より砂漠の方が,有機物の生産量は大きい。
⑥ 硬葉樹林より照葉樹林の方が,有機物の生産量は小さい。
⑦ 硬葉樹林より雨緑樹林の方が,有機物の生産量は大きい。
問1の解答 ②と⑦ 配点 各2点
かんぞうくん

しんぞう先生
かんぞうくん
しんぞう先生
かんぞうくん
A問 2(有機物に含まれる窒素の量)
太字(a)について,生産された有機物に含まれる窒素の重量比が 0.7 % だったとき,熱帯・亜熱帯多雨林で生産者の吸収する窒素量は,年間で1平方メートルあたり何グラム(g)になるか。図1 から推定される数値として最も適当なものを,次の①〜⑤のうちから一つ選べ。
① 1 ② 6 ③ 9 ④ 15 ⑤ 22
問2の解答 ④ 配点 3点
しんぞう先生
かんぞうくん
しんぞう先生
2.1 × 1000 × 0.007 = 14.7 なので約15gと言えます。正解は④ですね。
かんぞうくん
B前文(二酸化炭素と生態系の関係についての会話)
バイオームによって有機物の生産量に違いがあることを知ったユズルとサラは,大気中の二酸化炭素濃度の変化に生態系がどのように関係しているのかについて考えた。
ユズル
生産者によって二酸化炭素が有機物に取り込まれるわけだから,有機物の生産量の大きな生態系は,大気中の二酸化炭素濃度の上昇を抑制する効果が大きいと考えられるよね。
サラ
確かに,生産者だけを取り上げればそうかもしれない。でも,生産された有機物は,食物連鎖を通して,消費者や分解者に次々と利用されていくよね。これらの生物は,有機物に含まれる炭素を呼吸によって二酸化炭素に戻してしまう。だから,いくら生産者による有機物の生産が盛んでも,消費者と分解者の呼吸が多ければ,大気中の二酸化炭素濃度の上昇を抑制しているとはいえないように思うけど。
ユズル
なるほど。もし,(ア)ことや,(イ)ことが観察されれば,生態系が大気中の二酸化炭素濃度を減少させる効果があるといえるんじゃないかな。
サラ
これは,エネルギーの流れからも考えることができるよ。生産者が光エネルギーを有機物のエネルギーに変えるわけだけど,この有機物のエネルギーの(ウ)のであれば,生態系が大気中の二酸化炭素濃度の上昇を抑制しているといえるね。
B問 3(有機物と酸素濃度について)
上の会話文中の(ア)・(イ)に入る文として適当なものを,次①〜⑥のうちからそれぞれ一つずつ選べ。ただし,(ア)・(イ)の解答の順序は問わない。
① 生態系の有機物量が年々増加する
② 生態系の有機物量が年々減少する
③ 生態系の有機物量が毎年一定の値に維持されている
④ 大気中の酸素濃度が年々増加する
⑤ 大気中の酸素濃度が年々減少する
⑥ 大気中の酸素濃度が毎年一定の値に維持されている
問3の解答 ①と④ 配点 各2点
しんぞう先生
かんぞうくん
B問 4(エネルギーの移り変わり)
上の会話文中の(ウ)に入る文として最も適当なものを,次の①〜④のうちから一つ選べ。
① すべてが熱エネルギーとなる
② 一部が熱エネルギーとならずに残る
③ すべてが光エネルギーとなる
④ 一部が光エネルギーとなり,残りは熱エネルギーとなる
問4の解答 ② 配点 3点
しんぞう先生
かんぞうくん
プレテストを終えて
しんぞう先生
かんぞうくん
しんぞう先生
かんぞうくん