目次
2回目の共通テスト。
「思考力を問う」という傾向がはっきりしてきました。
1回目と比較すると、今回は難しく平均点も下がったと思います。「単純な知識を問う」のではなく、「知識をフル活用して考えて解答を導き出す」という形式にはっきりと変わった、という感じがします。今後もこの傾向で出題されるでしょう。
しんぞう先生
第1問A
A問1 酵素について
太字(a)に関する記述として誤っているものを、次の①〜⑤のうちから一つ選べ。
①化学反応を促進する触媒として働く。
②口から摂取した酵素は、そのままの状態で体内の細胞に取り込まれて働くことはない。
③タンパク質が主成分であり、細胞内で合成される。
④細胞内で働き、細胞外では働かない。
⑤反応の前後で変化しないため、繰り返し働くことができる。
A問1の解答 ④ 配点 3点
かんぞうくん
しんぞう先生
かんぞうくん
しんぞう先生
・酵素の別名は「生体触媒」
・触媒自体は化学反応で変化することはないから、何度でも働くことができる
A問2 ATPについて
a 核 b ミトコンドリア c 葉緑体
① a ② b ③ c ④ a , b ⑤ a , c ⑥ b , c ⑦ a , b , c
A問2の解答 ⑥ 配点 3点
しんぞう先生
かんぞうくん
しんぞう先生
A問3 ATP量から細菌数を推定する
d 個々の細菌の細胞に含まれる ATP量は、ほぼ等しい。
e 細菌以外に由来する ATP量は、無視できる。
f 細菌は、エネルギー源として ATPを消費している。
g ATP 量の測定は、細菌が増殖しやすい温度で行う。
① d , e ② d , f ③ d , g ④ e , f ⑤ e , g ⑥ f , g
A問3の解答 ① 配点 3点
かんぞうくん
しんぞう先生
かんぞうくん
しんぞう先生
かんぞうくん
しんぞう先生
「g」は細菌を増やしてからATP量を測定する実験ではないので、今、存在していたり容器に付着している細菌数を調べる実験の前提条件としては相応しくないね。
第1問B
B問4 DNAの抽出実験
ナツキ
今日の授業で、 ブロッコリーの花芽から DNA を抽出したけど、花芽を使ったのはなぜかな。茎からも花芽と同じように抽出できるんじゃないかな。放課後に実験して調べてみようよ。
ジュン
じゃあ、授業と同じ簡易抽出方法(図1)で、花芽と茎を比べてみよう。
ナツキ
花芽を使ったときと同じように、茎を使っても白い繊維状の物質が出てきたよ。でも、同じ重さの花芽と茎を使ったのに、茎のほうが花芽より少ないね。
ジュン
その理由を考えようよ。花芽と茎の細胞を顕微鏡で観察したら違いが分かるんじゃないかな。
二人は、 (d)花芽と茎を酸で処理し、細胞を解離した後、核を染色して、光学顕微鏡で観察した。
ナツキ
濃く染まっているのが核だね。
ジュン
花芽と茎とを比較すると、花芽のほうが、[ ア ] から、 DNA を多く得やすいんだね。だから、花芽を材料にしたんだね。
ナツキ
ところで、この(e)白い繊維状の物質は全部 DNA なのかな。
ジュン
RNA は DNA と同様にヌクレオチドがつながってできた鎖状の物質だから、 (f)白い繊維状の物質には DNA のほかに RNA も含まれているんじゃないのかな。調べてみようよ。
B問4 細胞の写真から考える
太字部(d)について、図2は二人が観察した花芽と茎の細胞の写真である。
この写真を踏まえて、DNA の抽出実験の材料に関する上の会話文中の [ ア ]に入る文として最も適当なものを、後の①〜⑤のうちから一つ選べ。
① 核がより濃く染まっているので、核の DNA の密度が高い
② 核が大きいので、核に含まれているDNA 量が多い
③ 細胞が小さいので、単位重量当たりの細胞の数が多い
④ 一つの細胞に複数の核が存在しているので、単位重量当たりの核の数が多い
⑤ 体細胞分裂が盛んに行われているので、染色体が凝縮している細胞の割合が高い
B問4の解答 ③ 配点 3点
しんぞう先生
かんぞうくん
しんぞう先生
B問5 グラフの読み取り
花芽 10gから得られた白い繊維状の物質を水に溶かして4mL の DNA 溶液を作り、試薬 X を使って調べたところ、0.6(相対値)の強さの黄色光を発した。この実験で花芽 10gから得られた DNA量の数値として最も適当なものを、後の①〜⑧のうちから一つ選べ。
① 0.019 ② 0.030 ③ 0.075 ④ 0.19 ⑤ 0.30 ⑥ 0.75 ⑦ 1.9 ⑧ 3.0
B問5の解答 ⑤ 配点 3点
かんぞうくん
しんぞう先生
かんぞうくん
B問6 DNA分解酵素とRNA分解酵素を用いた実験

B問6の解答 ⑤ 配点 4点
しんぞう先生
かんぞうくん
かんぞうくん
第2問A
A問1 光学式血中酸素飽和度計を用いた測定

太字部(a)に関連して、図2を参考に、光学式血中酸素飽和度計を用いた測定に関する記述として最も適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。
① 動脈血では、赤色光に比べて赤外光の透過量が多くなる。
② 組織で酸素が消費された後の血液では、赤色光が透過しやすくなる。
③ 血管内の血流量が変化すると、それに伴い赤色光と赤外光の透過量も変化するため、透過量の時間変化から脈拍の頻度を知ることができる。
④ 赤外光の透過量から、動脈を流れる Hb の総量を知ることができる。
A問1の解答 ③ 配点 3点
しんぞう先生
かんぞうくん
A問2 酸素解離曲線
山頂付近における
動脈血中の酸素濃度(相対値)の値は?
動脈血中のHbO2のうち組織で酸素を解離した割合(%)は?
① 30 ② 40 ③ 60 ④ 75 ⑤ 80 ⑥ 95
A問2の解答
動脈血中の酸素濃度(相対値)の値 ②「40」 配点 2点
動脈血中のHbO2のうち組織で酸素を解離した割合(%) ④「75」 配点 2点
かんぞうくん
しんぞう先生
かんぞうくん
しんぞう先生
かんぞうくん
かんぞうくん
第2問B
B問3 免疫
太字(b)について、細菌感染の防御における役割を調べるため、実験1を行った。実験1の結果から導かれる後の考察文中の [ ア ]・ [ イ ]に入る語句の組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑥のうちから一つ選べ。
実験1 大腸菌をマウスの腹部の臓器が収容されている空所(以下、腹腔) に注射した。注射前と注射4時間後の腹腔内の白血球数を測定したところ、図4の実験結果が得られた。
大腸菌の注射により、多数の好中球が、 [ ア ] から周辺の組織を経て腹腔内に移動したと考えられる。好中球は、[ イ ]とともに、食作用により大腸菌を排除すると推測される。
B問3の解答 ③ 配点 3点
しんぞう先生
炎症・・・侵入した付近の毛細血管が拡張したり、血液がたまって膨らむ。発熱や痛みを伴い、赤く腫れる。
かんぞうくん
B問4 記憶細胞の働き
実験 2 マウスX の皮膚を別の系統のマウス Y に移植した。マウス Y では、マウス X の皮膚を非自己と認識することによって拒絶反応が起こり、移植された皮膚(移植片)は約10日後に脱落した。その数日後、移植片を拒絶したマウス Y にマウス X の皮膚を再び移植すると、移植片は 5〜6日後に脱落した。
① 免疫記憶により、2度目の拒絶反応は強くなった。
② 免疫記憶により、2度目の拒絶反応は弱くなった。
③ 免疫不全により、2度目の拒絶反応は強くなった。
④ 免疫不全により、2度目の拒絶反応は弱くなった。
⑤ 免疫寛容により、2度目の拒絶反応は強くなった。
⑥ 免疫寛容により、2度目の拒絶反応は弱くなった。
B問4の解答 ① 配点 3点
かんぞうくん
かんぞうくん
B問5 血清療法
実験3 マウスに致死性の毒素を注射した直後に、毒素を無毒化する抗体を注射したところ、マウスは生存できた。
a . 予防接種の原理が働いた。
b . 血清療法の原理が働いた。
c . このマウスのT細胞が働いた。
d . このマウスのB細胞が働いた。
① a ② b ③ c ④ d ⑤ a , c ⑥ a , d ⑦ b , c ⑧ b , d ⑨ a , c , d ⑩ b , c , d
B問5の解答 ② 配点 3点
しんぞう先生
かんぞうくん
第3問A
ブナの葉を食うガであるブナアオシャチホコ (以下、ブナアオ)の幼虫は、しば しば大発生して一帯の葉を食いつくすことがある。(b)この幼虫は、日当たりの良い林冠につくられる陽葉よりも、日当たりの悪い下層につくられる陰葉から食い始める。
(c)ブナアオが大発生すると、その幼虫を食う甲虫のクロカタビロオサムシが追いかけるように大発生する。同様に、ブナアオの蛹を栄養源とする菌類のサナギタケも大発生する。そのため、 ブナアオの大発生は長続きしない。
A問1 垂直分布
下線部(a)について、地球温暖化の進行により、今後 100 年間で年平均気温は2〜4°C 上昇すると見積もられている。これにより、現在の中部地方において見られる図 1 のようなバイオームの分布が変化したとするとき、標高 500 m と標高 1500 m ではそれぞれどのようなバイオームが成立すると予測されるか。予測の組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑦のうちから一つ選べ。
A問1の解答 ⑥ 配点 3点
しんぞう先生
図1は日本のバイオームの「垂直分布」の図だね。
かんぞうくん
しんぞう先生
かんぞうくん
A問2 光合成曲線

A問2の解答 ⑥ 配点 3点
しんぞう先生
かんぞうくん
しんぞう先生
かんぞうくん
A問3 生産者と消費者

A問3の解答 ⑤ 配点 3点
かんぞうくん
第3問B
B問4 窒素固定や窒素同化、脱窒
太字部(d)について、下水処理場では、生物を利用して下水から窒素を取り除いている。この下水処理過程の順序として最も適当なものを、次の①〜⑤のうちから一つ選べ。
① 無機窒素化合物の生成 → 脱窒
② 無機窒素化合物の同化 → 脱窒
③ 窒素固定 → 脱窒
④ 窒素固定 → 無機窒素化合物の生成
⑤ 窒素固定 → 無機窒素化合物の同化
B問4の解答 ① 配点 3点
しんぞう先生
窒素固定
・大気中のN2を無機窒素化合物のNH3やNH4+にする(還元)こと。
・窒素固定細菌(アゾトバクター、クロストリジウム、根粒菌)が行う。
窒素同化
・生物が外界から取り入れた無機窒素化合物から、アミノ酸、タンパク質、核酸のような有機窒素化合物を作り出すこと。
・窒素固定細菌は、大気中のN2を窒素固定して、そのまま窒素同化まで進めることができるが、植物や動物は大気中のN2から窒素同化をすることができない。
かんぞうくん
植物
硝酸イオンやNH4+を根から吸収して、有機化合物を合成する。
動物
植物や動物を食べて有機化合物を取り入れ、自分の体に必要な有機化合物を合成する。
かんぞうくん
脱窒
有機窒素化合物を、NH4+、 NO2–、 NO3– などの無機窒素化合物にして、さらに脱窒素細菌の働きでN2にまで変えること。
かんぞうくん
B問5 植生の消失と窒素濃度の変化
① 植生が消失すると上昇し、植生の回復後も高い状態が続く。
② 植生が消失すると上昇し、植生の回復後に低下して元に戻る。
③ 植生が消失しても変化しないが、植生の回復後に上昇する。
④ 植生が消失しても変化しないが、植生の回復後に低下する。
⑤ 植生が消失すると低下し、植生の回復後に上昇して元に戻る。
⑥ 植生が消失すると低下し、植生の回復後も低い状態が続く。
B問5の解答 ② 配点 3点
しんぞう先生
かんぞうくん
しんぞう先生
かんぞうくん
しんぞう先生
かんぞうくん
しんぞう先生