2021共通テスト 化学基礎 解説とまとめ (番外編)

化学きそ

しんぞうくん

第1回の大学入試共通テストの「化学基礎」を振り返ろう。平均点は24.6点だった。ざっと要点をあげてみた。
  • 大問数は2020年までのセンター試験と変わらなかった。
  • 第1問はセンター試験形式と似たような小問が多かった。
  • 第2問は「化学」に出てくるような実験問題だった。しかし、問題をよく読んで、実験のスタートとゴール、実験Ⅰ〜Ⅲ、を具体的にイメージできれば解答できる内容だった。

しんぞう先生

それでは、第1問から詳しく見ていこう。目次から各問題に飛ぶことができるよ。

第1問

第1問

問1の解答 ⑥   配点 3点

しんぞう先生

生物基礎の共通テストは会話文で始まったけど、化学基礎はこれまでのセンター試験と同じような小問からスタートだな。
この形式、やっぱり緊張してしまいます。

かんぞうくん

しんぞう先生

まあ、やることは生物基礎と同じで、過去問をじっくり繰り返し解いていこう

問1 物質の分類

しんぞう先生

用語をまとめたので、これを見て。
用語のまとめ3つ
  • 単 体・・・1種類の元素からなる
  • 化合物・・・2種類以上の元素からなる
  • 混合物・・・いくつかの純物質(単体と化合物)が混ざったもの
これを元に考えると、答えは⑥です!

かんぞうくん

しんぞう先生

正解。オゾンはO3、メタンはCH4 、空気はCO2やO2、N2 が混ざったものだよ。



問2 物質に含まれる酸素原子の物質量

1-2

問2の解答 ②   配点 4点

しんぞう先生

ちょっと質問。かんぞうくんは「物質量」って覚えてる?
もちろんです。1molというやつですよね。1molの個数は 6×1023。莫大な数です!。この関係によく似た物として、ダースがあります。これは1ダースが12本というやつです。

かんぞうくん

しんぞう先生

その通り。よく覚えてたね。改めてまとめたよ。
molについて
  • 物質1molの個数は6×1023
  • 1molの気体の体積は22.4L
  • 物質1molの質量は、それぞれの物質の原子量に g をつけたもの

例えば、1molのCO2の質量は「12+16+16=44」なので44g。

1molのH2Oの質量は「1+1+16=18」なので18g。

こんな考え方でいいですか?

かんぞうくん

Kaihou2

しんぞう先生

おっけい!



問3 陽子、価電子、中性子の数とグラフ

1-3

しんぞう先生

まずはこの図を見て。

1-3

しんぞう先生

グラフの、は「中性子の数」、は「陽子の数」、は「価電子の数」を表している。
陽子はプラスの電気を帯びてて、電子はマイナスの電気を帯びてますね。中性子はプラスもマイナスも帯びてなかったはずです。

かんぞうくん

しんぞう先生

おっけい。価電子についてまとめたよ。
価電子について
  • 1番外側の電子殻を回る電子
  • 1番外側の殻には最大で8個の電子が入る。9個目は入れずに、もう1つ外側の殻に1個目として入る。
  • 他の原子と電子のやりとりをする。最外殻の電子が8個になると、他の原子と電子のやりとりはしない(=安定している)。
  • 安定すると、他の原子と電子のやりとりをしないので、価電子としての価値はなくなる。なので、1番外側に8個の電子があるにもかかわらず、価電子数は0個と表現する

しんぞう先生

では、aとbの問題について考えてみよう。

1-3ab

問3の解答
a ③    配点 2点
b 質量数が最も大きい原子の質量数 40  M殻に電子がなく原子番号が最も大きい原子の原子番号 10  配点 各2点

しんぞう先生

aについて考えてみて。
さっきもやったけど、は「中性子の数」、は「陽子の数」、は「価電子の数」を表しています。

かんぞうくん

しんぞう先生

その通り。次、bについて。
「質量数=陽子の数+中性子の数」グラフの数字を見ながら足し算すればいいから・・・、

かんぞうくん

原子番号18の陽子(18個)+中性子(22個)=40 が最も大きい。

かんぞうくん

M殻に電子がなく原子番号が最も大きい原子の原子番号を求める。これは、K殻(1番内側)とL殻(内側から2番目の殻)で電子がいっぱいな状態だから、2+8=10。原子番号は10です

かんぞうくん

しんぞう先生

おっけい!問4、行ってみよう。



問4 結晶の電気伝導性

1-4

問4の解答 ⑤   配点 3点

しんぞう先生

金属結晶は自由電子をもつので電気をよく通す。共有結合の結晶は、電気を通さないものが多い。しかし、C(黒鉛)は電気を通す。これは網目状の平面構造の中を電子が動けるからね。
ということは答えは⑤です。

かんぞうくん



問5 金属の反応

1-5

問5の解答 ④   配点 3点

しんぞう先生

この図を見て。

Ion

Mgは熱水で反応するのだから、高温の水蒸気とも反応しますね。ということで、高温の水蒸気と反応する金属はMgとAlです!

かんぞうくん

しんぞう先生

正解!



問6 化学反応式と酸化剤

1-6

問6の解答 ④   配点 4点

しんぞう先生

今度は酸化数の問題だよ。
これ、苦手です。まず酸化数を覚えなければいけないのよね?ただのアルファベットをたくさん覚えるのは苦痛だし、こんなに暗記しなければならないのははっきり言ってやりたくないです・・・。

かんぞうくん

しんぞう先生

そうか。周期表を覚えていればだいぶ楽になるよ。これが周期表。化学基礎で出てきそうな元素を選んだよ。

周期表

「水平リーベ僕の船」で覚えた周期表ですね。表の上に、赤字でプラスマイナスの数字が書いてあるけど、もしかしてイオンになる時の数字ですか?

かんぞうくん

しんぞう先生

その通り。電子はマイナスの電荷を持つので原子の一番外側の電子殻(最外殻)に電子が入るとマイナスのイオンになる。逆に原子から電子が失われるとプラスのイオンになるよ。

しんぞう先生

縦の列で1番左の1族の元素は「○」、2属は「○2+」、17属は「○」、というようなイオンの価数になる。酸化数の話に戻すと、イオンの価数が酸化数の数字だと思っといてOK。

しんぞう先生

もう1つ、酸化数を考えるときのルールを書いておくね。酸化還元を考える時に役立つから。
酸化数のルール
  • 酸化数を全て足すと電荷になる
  • 単体=0(ゼロ)
  • 0(ゼロ)以外は必ず「+」「ー」をつける
  • 化合物中の原子の酸化数=イオンの電荷
  • 酸化数を考える時の優先順位は次の順番で。[アルカリ金属=+1、アルカリ土類金属=+2]>[H=+1]>[O=−2]>[ハロゲン=ー1]
こんな考え方でいいですか?

かんぞうくん

酸化数1

しんぞう先生

おっけい。こんな考え方もできるよ。
  1. 酸化数が増えた(=歳をとった)↓
  2. 歳をとるとお肌が酸化されてシワシワになる ↓
  3. 自分が酸化されると、相手を還元した、ということ ↓
  4. なので「CO」は還元剤として働いたということ
そうやって考えるといいのですね。あと3つ。こう考えましたよ。

かんぞうくん

酸化数2

しんぞう先生

おっけい。もうできるね。



問7 溶液の濃度

濃度計算

問7の解答 ①   配点 3点

しんぞう先生

質量パーセント濃度、というのは中学校のときに勉強した濃度計算ね。公式覚えてるかな。その公式を変形して考えよう。あと、モル質量というのは、単位を見れば分かると思うけど、1モルあたりの質量[g]ね。
こんな感じで計算というか、式を変形してみました。

かんぞうくん

濃度計算

しんぞう先生

正解!



問8 燃料電池と反応式

しんぞう先生

第1問のラストだ!頑張ろう!!

第7問

問8の解答 ⑤   配点 4点

しんぞう先生

これは燃料電池についての問題だね。
燃料電池自動車、早く普及してくれたらいいなー、と思います。

かんぞうくん

しんぞう先生

そうだね。今回のこの問題は、二つの化学反応式をきちんと読み取ることができれば燃料電池について詳しくなくても解ける。
そうなのですか?

かんぞうくん

しんぞう先生

では、やってみよう!

燃料電池の式

わかりました!正解は⑤です!!

かんぞうくん

第2問

しんぞう先生

では、いよいよ第2問。実験の問題だな。
実験問題、苦手です。「なんのために、どんな内容の実験をして要るのか」が分からなくなるからです。

かんぞうくん

しんぞう先生

それが分かってるのなら、話は早い。やることはこの2つ。
  • 実験の目的とスタート、ゴールをしっかりイメージすること
  • イメージの中で、ゴールまで到達すると、今度は実験を脳の中でイメージすること

しんぞう先生

これが問題。

大問2

しんぞう先生

陽イオン交換樹脂を使うと、水溶液中の陽イオンを水素イオン(H)に交換することができる。イメージはこんな感じ。

陽イオン交換樹脂

なんか不思議な実験用具ですね。よし、問題を解いていきます。

かんぞうくん



問1 a 塩の分類

2-1

問1の解答 a  ③   配点 4点

正塩って何だったっけなー。うーん、思い出せません・・・。

かんぞうくん

しんぞう先生

Nacl、K2CO3、CH 3COONa などだよ。
見分け方が分からりません・・・。

かんぞうくん

しんぞう先生

イオンに分けたときに、HやOH が残っていないもの、と考えてみて。
そうですか。ということは、③のNaHSO4がHが残るから、これが正塩ではないですね。

かんぞうくん

しんぞう先生

正解。④のNH4CLは、NH4+とCLに分かれてH+は残らないから正塩ね。

しんぞう先生

ちなみに、酸性塩の例としてはNaHCO3、NaHSO4がある。酸のH+が残っているから酸として働く。

しんぞう先生

塩基性塩はCaCl(OH)、NaCl(OH)。塩基のOHが残っているからね。
はい。イオンになった時のことを考えればいいのですね。

かんぞうくん



問1 b 陽イオン交換樹脂の性質

2-1

問1の解答 b  ③   配点 4点

しんぞう先生

それぞれの陽イオンがH+に置き換わった、と考えてみよう。

しんぞう先生

アはKCLがHCLに。 強酸だから水溶液中ではほとんど電離して、1molのH+の状態になっている。

しんぞう先生

イはNaOHがH2Oに。ただの水なのでH+はない。

しんぞう先生

ウはMgCl2がHClに。しかもMgCl2はClが2つあるから、2molのHClになる。水溶液中では2molのH+として存在している。

しんぞう先生

エはCH3COONaがCH3COOHになるけど、CH3COOHは弱酸なのであまり電離しないからCH3COOH分子の状態で存在することになる。
そうやって考えるのですね。正解はウです。

かんぞうくん

問2 a 中和反応と塩の水溶液の性質

2-実験1

塩化カルシウムCaCl2には吸湿性がある、と書いてあるけど、吸湿性って水分を吸い取る性質でよいいですか?

かんぞうくん

しんぞう先生

そう。CaCl2の質量は、水分の質量も含んでいる、ということ。この問題は、CaCl2に含まれているH2Oの質量を求める、というのがゴールね。そのために実験ⅠからⅢまで、3つの実験を行った。まず、実験Ⅰのイメージはこれ。

実感1のイメージ

しんぞう先生

実験Ⅱにいく前に、ひとつ問題があったね。この問題。

2ーあ

問2の解答 a  ②   配点 4点

いやー、分かりません・・・。

かんぞうくん

しんぞう先生

こうやって考えるんだよ。

pH

正解は②ですね。

かんぞうくん



問2 b 実験器具と操作

しんぞう先生

実験Ⅱのイメージはこれ。

jikken2

しんぞう先生

メスフラスコに移すときに使ったビーカーやガラス棒に付着していたHClを純水で洗って、その洗った液体もメスフラスコに入れるんだよ。

しんぞう先生

正確にすべてのHClをメスフラスコに入れて500mLにしなければならないからね。
分かりました!

かんぞうくん

しんぞう先生

では、問題へ。これは知識がなければ解答できないかな。ざっと説明するね。

2ーb

問2の解答 b  ②   配点 4点

しんぞう先生

正解は➁なんだけど、メスフラスコはメスシリンダーよりも精度が高く測り取ることができるんだけど、決まった量しか測れない。メスシリンダーは目盛りの量を測れるんだけど、メスフラスコよりも精度は下がる。この実験はきっちり測り取りたいからメスフラスコを使うのよ。
わかりましたー!

かんぞうくん

問2 c 資料に含まれる水の質量を求める

しんぞう先生

では、いよいよ最後の問題だ!まずは実験Ⅲのイメージ。

jikkenn3-1
jikken3-2

finish

問2の解答 c  ①   配点 4点

よく分からないから、勘で答えます!

かんぞうくん

しんぞう先生

こら。ここまできっちりやってきたんだから、気を抜くんじゃない!
はーい。確か、CaCl2は吸湿性で、この問題はこのCaCl2が何gの水を含んでいるかを求めるんだったはず。

かんぞうくん

しんぞう先生

そのために、実験ⅠからⅢをやってきた。実験Ⅰは用イオン交換樹脂でCa2+とH+を交換した。
実験Ⅱは、実験Ⅰで集めたHClを希釈して500mLの水溶液にしました。

かんぞうくん

しんぞう先生

実験Ⅲで、中和滴定をした。滴定で使った0.100 mol/LのNaOHは0.0040 mol/L 。

tektitei1

しんぞう先生

10mLのHCl水溶液の中に0.0040mol/LのH+があったのだから、元々の500mLのビーカーの中には比で計算すると0.20molあったことになる。

jikkenn3-3

しんぞう先生

実験Ⅰでは、CaCl2がHClに置き換わった。その時、Ca2+はプラスの電荷が「2」。対するH+はプラスの電荷が「1」。H+が負けてるので、つりあうにはH+が2倍必要になる。
ややこしいけど、H+が0.2molあったら、 Ca2+は半分の0.1molでいい、ということですか?

かんぞうくん

しんぞう先生

そう。だから、実験Ⅰで交換されたCa2+は0.1molだったから、ビーカー500mLの中にCaCl2は0.1molあったということになる。その時のCaCl2の質量は、式量が111gだから、11.1gとなる。
わかりました!もともと資料AはCaCl2と水分で「11.5 g」だったから、CaCl2が「11.1 g」あったのなら、水は「11.5 – 11.1 = 0.4 g」含まれていた、ということですね!だから、解答は①です!

かんぞうくん

しんぞう先生

よくできました!それでは、記念すべき第1回の共通テスト「化学基礎」の解説はこれで終わるね。
ありがとうございました!(難しかったー)

かんぞうくん

しんぞう先生