2020センター試験 生物基礎 解説とまとめ

2020

しんぞう先生

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かんぞうくん

2020センター試験 生物基礎について

平均点は「32.65点」
出題内容について
第1問
生物の特徴、代謝、ミクロメーター、細胞構成成分、遺伝情報とDNA・タンパク質の合成・DNAの研究史
第2問
体液の濃度調節、ホルモン、免疫
第3問
バイオーム、炭素の循環、生態系とエネルギーの流れ、地球温暖化、大気中の二酸化炭素濃度の変化について


しんぞう先生

今後の共通テストでも、会話文方式での出題が増えると思う。なぜなら、できるだけ日常生活に即した問題を出題したい、という意図があるから。日常生活で不思議だな、と思ったことは深く考えていく姿勢を身につけておいた方がいいと思うな。

第1問「生物の特徴、代謝、ミクロメーター、細胞構成成分、遺伝情報とDNA・タンパク質の合成・DNAの研究史」

A問1(光学顕微鏡で動物細胞を観察している時の会話文)

問題

次の文章は、細胞の特徴を探求する活動の一環として、ある動物細胞を光学顕微鏡で観察しているホタルとヒカルの二人の会話である。

 

ホタル
色素を利用して(a)細胞小器官を染めて観察すると、実はミトコンドリアにもいろいろな形や大きさのものが見えるね。この細長いミトコンドリアのサイズはどのくらいだろう。

 

ヒカル
今使っている対物レンズと接眼レンズの組合せだと、(b)接眼ミクロメーターの20目盛りが対物ミクロメーターの50μmに相当しているね。細長いミトコンドリアは接眼ミクロメーターの2目盛りだけど、これはどのくらいの長さになるのかな。

二人は様々な細胞小器官を観察し続けた。

ホタル
拡大しても、細胞小器官の間は何もないように見えるけど、実際にはどうなっているんだろう。教科書の細胞の模式図でも、細胞小器官の間は何も描かれていないことが多いよね。水で満たされているのかな。

 

ヒカル
水だけではないはずだよ。私たちの観察条件では見えないだけで、エネルギー物質や(c)細胞を構成する様々な成分が含まれているはずだよ。

 

ホタル

きっと様々な化学反応が起きているんじゃないかな。細胞って、なんだかすごいね。

問1 下線部(a)に関連して、真核生物における細胞小器官に関する記述として誤っているものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。

 

① 核には、DNAとタンパク質を主な構成成分とする染色体が含まれる。
② ミトコンドリアで行われる呼吸では、水がつくられる。
③ ミトコンドリアは、核とは異なる独自のDNAをもつ。
④ 葉緑体やミトコンドリアでは、ATPが合成される。
⑤ 葉緑体に含まれる主な色素は、アントシアン(アントシアニン)である。

問1の解答 ⑤   配点 3点

しんぞう先生

正解は⑤だけど、なぜ⑤の記述が間違っているのか、説明できる?

はい。アントシアン(アントシアニン)は、液胞に含まれる色素です。葉緑体に含まれる光合成色素は、クロロフィルやカロテノイドです。

かんぞうくん

しんぞう先生

そうだね。


①のタンパク質は「ヒストン」。
②呼吸で有機物を分解すると、水とCO2が生じる。
③大昔に、別の生物が細胞内に入ってきて共に生活するようになったものがミトコンドリアだ、と考えられている。なので、ミトコンドリアの内部には、細胞の核内にあるDNAとは別のDNAを持っている。だから細胞内で独自に分裂して増えることができる。
④葉緑体は光合成で、ミトコンドリアは呼吸で、それぞれATPを作る。

 

細かいけど、覚えていてね。

A問2(顕微鏡とミクロメーターの計算問題)


問題

下線部(b)に関して、細長いミトコンドリアの長さの数値として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。

 ① 2.5  ② 5  ③ 10  ④ 40

問2の解答 ②   配点 3点

しんぞう先生

このタイプの問題は、比の関係から求めたらいいよ。会話文から、次のような比例式を立てて接眼ミクロメーター1目盛りの長さを求める。

接眼ミクロメーター(20目盛り):対物ミクロメーター(50μm)=  接眼ミクロメーター(1目盛り):対物ミクロメーター(x μm)

この比例式を次のように変形させる。「=」を挟んだ外側と外側、内側と内側をそれぞれ掛けわせて 「x」 を求めればいい。

20 x = 50
x = 50/20 = 2.5 μm

これで接眼ミクロメーター1目盛りの長さは、2.5 μm というのが分かった。

会話文から、ミトコンドリアは接眼ミクロメーターの2目盛り分の長さ、ということだから、
2目盛り× 2.5μm = 5μm
と計算するんですね。

かんぞうくん

A問3(動物細胞の構成成分)

問題
下線部(c)に関連して、ヒトなどの動物細胞の構成成分と分析すると、質量比で水が最も多くを占めている。水の次に多く含まれる成分として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。

 ① タンパク質  ② 炭水化物  ③ 核酸  ④ 無機塩類

問3の解答 ①   配点 3点

しんぞう先生

動物細胞の構成成分を円グラフに示したよ。水の次に多いのは、タンパク質だね。その次に脂質、炭水化物の順番だね。

円グラフ

B問4(セントラルドグマ)

問題
近年、(d)DNAの人工合成技術が飛躍的に進歩している。この合成技術を用いて、ある研究者グループは細菌Mの全ゲノムの塩基配列(約100万塩基対)のDNAを合成した(以後、合成ゲノムDNAとよぶ)。この合成ゲノムDNAを別の細菌Cに導入して細菌Cのゲノムと置き換えて、細菌M’を作ろうとしたが、この細菌は増殖しなかった。これは、合成ゲノムDNAの塩基配列のうち、1塩基対が誤っていたためであった。この1塩基対を修正した合成ゲノムDNAを用いて同じ実験を行ったところ、細菌M’の増殖が確認された。

 

問4 次の文章は、上で説明した細菌M’の作製実験に関連した記述とその考察である。文章中の(ア)~(エ)に入る語として最も適当なものを、下の①~⑨のうちから一つずつ選べ。

 

遺伝情報はDNAからRNA,そしてタンパク質へと一方向に流れていくという考え方がある。この考え方を(ア)という。この考え方に従うと、1塩基対の誤りを含むDNAから(イ)されたRNAの塩基配列、さらにそこから(ウ)されたタンパク質のアミノ酸配列にも誤りが引き起こされたと考えられる。さらに詳しく調べたところ、この1塩基対の誤りを含んだ遺伝子がコードしているタンパク質は、DNAを鋳型にDNAを合成する(エ)を開始させるのに必要な酵素の一つであった。このため、100万塩基対中のたった1塩基対の誤りによってDNAの(エ)開始できず、細菌M’が増殖できなかったと考えられる。

 

 ① 複製  ② 翻訳  ③ 転写  ④ 遺伝  ⑤ 代謝  ⑥ セントラルドグマ

 ⑦ デオキシリボース  ⑧ ゲノムプロジェクト  ⑨ バクテリオファージ

問4の解答 
ア・・・⑥ 配点 1点   
イ・・・③ ウ・・・② エ・・・① 配点 完答 2点

しんぞう先生

「セントラルドグマ」。生物専門用語だけど、下の図のような一方通行の流れのことね。

セントラルドグマ

・・・金庫
DNA・・・タンパク質を作るための設計図[高価なもの]
mRNA・・・設計図のコピー[安い紙にコピーされたもの、破れやすいが大量生産されている]
リボソーム・・・タンパク質を作る工場

しんぞう先生

金庫の中に収納されているタンパク質の設計図は、大切なものすぎて金庫から外に出すことができない。
ということで、大量生産できる安い紙に設計図をコピーして、金庫から出してくる。【転写】
設計図のコピーをもとに、工場でタンパク質を作る。【翻訳】

一方通行なのですね。じゃないと、タンパク質からDNAを作ることが可能になってしまいますもんね。

かんぞうくん

B問5(塩基の相補性)

問題
下線部(d)に関連して、図1のようにDNAの二重らせんの片方の鎖の塩基の並びが「ATGTA」のとき、この配列に相補的な「DNAの塩基配列」と「RNAの塩基配列」として最も適当なものを、下の①~⑨のうちからそれぞれ一つずつ選べ。ただし、同じものを繰り返し選んでもよい。

図1

問5の解答 
DNAの塩基配列・・・⑥  RNAの塩基配列・・・②      
配点 完答3点

塩基の相補性の問題ですね。DNAの場合は、A(アデニン)の相手はT(チミン)で、C(シトシン)の相手はG(グアニン)でしたね。

かんぞうくん

しんぞう先生

そう。RNAの場合は、Aの相手はU(ウラシル)で、Cの相手はGだね。Tの代わりにUだったね。

B問6(肺炎双球菌の問題)

問題
次の文章は、遺伝子の本体にせまる歴史的実験について述べたものである。文章中の(オ)~(ク)に入る語の組合せとして最も適当なものを、下の①~⑧のうちから一つ選べ。

肺炎双球菌(肺炎球菌)には病原性のS型菌と非病原性のR型菌がある。グリフィスは、R型菌と加熱殺菌したS型菌を混ぜてネズミに注射する実験を行った。すると、このネズミには病気の症状が現れ、その体内から生きた(オ)が見つかった。これは、死滅したS型菌の中の物質がR型菌の性質や特徴を変化させたために起こった現象であり、このような現象を(カ)という。また、エイブリーらは、S型菌の抽出液からタンパク質を分解させたものと、DNAを分解させたものとを作り、それぞれR型菌と混ぜて培養する実験を行った。この場合、(キ)を分解させた抽出液を用いた実験では(オ)の出現が確認されたが、(ク)を分解させた抽出液を用いた実験では確認されなかった。

問6

問6の解答 ⑥   配点 3点

R型菌とS型菌はこういうイメージでよいですか?

かんぞうくん

そうきゅうきん

しんぞう先生

OK!RとS、はRoughとSmoothの頭文字ね。グリフィスの実験は以下のイメージ。


グリフィス

しんぞう先生

エイブリーの実験は次のイメージ。

エイブリー

 

第2問「体液の濃度調節、ホルモン、免疫」

A問1(淡水魚と海水魚の体液の塩類濃度)

問題
A 硬骨魚類は、(a)腎臓(b)エラによって体液の塩類濃度を一定に保つしくみを持っている。そのため、(c)淡水魚のコイと海水魚のカレイは、通常、異なる塩類濃度の環境に生息しているが、両者の体液の塩類濃度は、ほぼ等しい。

問1 下線部(a)に関連して、次の文章中の(ア)~(ウ)に入る語句の組合せとして最も適当なものを、下の①~⑥のうちから一つ選べ。

淡水魚の体液の塩類濃度は、尿の塩類濃度と比べると(ア)。海水魚の体液の塩類濃度は、尿の塩類濃度と比べると(イ)。したがって、淡水魚と海水魚の体液の塩類濃度がほぼ等しいことから、淡水魚の尿の塩類濃度は、海水魚の尿の塩類濃度と比べると(ウ)ことが分かる。

2A問1

問1の解答 ⑤   配点 3点

しんぞう先生

問題文に、「淡水魚のコイと海水魚のカレイは、通常、異なる塩類濃度の環境に生息しているが、両者の体液の塩類濃度は、ほぼ等しい。」とある。下のイメージを見てみて。まずは淡水魚。

淡水魚

これは海水魚ですね。

かんぞうくん

海水魚

しんぞう先生

このことについて考えるとき、このキーワードを念頭に置いといて。
「濃いものを薄めようとするはたらきがある」
海水魚の体液と、海水を比べると、海水のほうが塩分濃度が濃い。だから、海を薄めようとして体内から水分が出ていく。

それじゃあ、体内がカラカラになってしまいます。

かんぞうくん

しんぞう先生

だから、海水をどんどん飲む。そして、エラから塩分をたくさん排出するのです。尿からも排出します。ただ、「魚類」は我々「ほ乳類」よりも腎臓が発達していないから、体液と等張の尿しか排出できないのです。

しんぞう先生

淡水魚は、体液の方が川や湖よりも塩分濃度が高い。だから、水がどんどん体内に入ってくる。

それじゃあ、体がパンパンになってしまいます。

かんぞうくん

しんぞう先生

だから、積極的に多量の薄い尿を排出するのです。

A問2(塩類の輸送)

問題
下線部(b)に関連して、次の文章中の(エ)~(キ)に入る語の組合せとして最も適当なものを、下の①~⑧のうちから一つ選べ。

エラにある塩基細胞とよばれる特殊な細胞は、(エ)が合成される場であるミトコンドリアを多くもち、そのエネルギーを利用して塩類の輸送を行っている。淡水魚の塩類細胞(以後、淡水型とよぶ)は、(オ)から(カ)への輸送を行い、海水魚の塩類細胞(以後、海水型とよぶ)は、(カ)から(オ)への輸送を行う。ある種の魚は、この淡水型と海水型の両方をもつ。例えば、サケは幼魚から成魚へと成長すると、塩類細胞は淡水型から海水型へと変わり、川から海へと生息環境を変える。このような淡水型から海水型への変化には、ヒトと同様に(キ)から放出される成長ホルモンが関わっている。

2A問2

問2の解答 ⑦   配点 3点

しんぞう先生

塩類細胞は、ATPのエネルギーを使って塩類の輸送をするのです。エラにある塩類細胞は、ミトコンドリアを多く持ちATPを作っています。もう一度、このキーワード「濃いものを薄めようとするはたらきがある」を思い出して、次のイメージ図を見てみて。


淡水魚2

海水魚2

しんぞう先生

塩類細胞が「淡水型から海水型」に変化する時、成長ホルモンが関与します。さて、成長ホルモンはどこから放出される?

はい!「脳下垂体前葉」です!!

かんぞうくん

A問3(コイとカレイが生存可能な外液の塩類濃度)

問題
下線部(c)淡水魚のコイと海水魚のカレイに関連して、ある条件下では、淡水魚と海水魚が混じって生息することがある。ある日、河口から約20km上流で河川とつながっている沼で、三平さんが釣りをしていたところ、コイに混じってカレイが釣れた。コイとカレイにおける外界の塩類濃度の変化に対する体液の塩類濃度の変化が図1のような関係となるとき、図中の(ク)・(ケ)に入る魚類とこの沼の塩類濃度の組合せとして最も適当なものを、下の①~⑧のうちから一つ選べ。ただし、沼の塩類濃度は場所や深さによらず一葉であるとする。

2問3ず1

2問3選択肢1

問3の解答 ⑥   配点 3点

淡水魚のコイと海水魚のカレイが混じって生息することがあるんですね。

かんぞうくん

しんぞう先生

そうみたいだね。
「ク」は、外液の塩類濃度が低い所でなら長期間生存可能だ、ということがグラフから読み取れる。
「ケ」は、「ク」と逆に塩類濃度が高い所なら長期間の生存が可能、ということから「ク」がコイで、「ケ」がカレイということがわかる。

そうか、グラフから読み取れますね。では、沼の塩類濃度は、・・・

かんぞうくん

しんぞう先生

コイもカレイも生存可能な外液の塩類濃度を見てみて。

はい。約0.4〜1.0%の範囲なら両方とも生存可能だから、沼の塩類濃度は選択肢の中では0.9%となります!

かんぞうくん

 

B問4(細胞性免疫について)

問題
獲得免疫には、(d)細胞性免疫と、抗体のはたらきによる(e)体液性免疫があり、体内から病原体や毒物を排除している。

問4 下線部(d)細胞性免疫に関連して、次の文章中の(コ)~(シ)に入る語句の組合せとして最も適当なものを、下の①~⑧のうちから一つ選べ。

体内に侵入した抗原は図2に示すように、免疫細胞Pに取り込まれて分解される。免疫細胞QおよびRは抗原の情報を受け取り活性化し、免疫細胞Qは別の免疫細胞Sの食作用を刺激して病原体を排除し、免疫細胞Rは感染細胞を直接排除する。免疫細胞の一部は記憶細胞となり、再び同じ抗原が体内に侵入すると急速で強い免疫応答が起きる。免疫細胞Pは(コ)であり、免疫細胞Qは(サ)である。免疫細胞P~Sのうち記憶細胞になるのは(シ)である。

免疫

                      図2

 

免疫選択肢

問4の解答 ⑧   配点 4点

しんぞう先生

食細胞の「樹状細胞」は、自然免疫、獲得免疫の両方ともに関わるよ。
獲得免疫では、食作用で取り込んだ異物を体の中でバラバラにして、抗原の情報をT細胞に伝えます。また、B細胞も記憶細胞として残ります。

B問5(体液性免疫) 

問題
下線部(e)体液性免疫に関連して、抗体の産生に至る免疫細胞の相互作用を調べるため、実験1を行った。実験1の結果の説明として最も適当なものを、下の①~⑤のうちから一つ選べ。

実験1 マウスからリンパ球を採取し、その一部をB細胞およびB細胞を除いたリンパ球に分離した。これらと抗原とを図3の培養の条件のように組み合わせて、それぞれに抗原提示細胞(抗原の情報リンパ球に提供する細胞)を加えた後、含まれるリンパ球の数が同じになるようにして、培養した。4日後に細胞を回収し、抗原に結合する抗体を産生している細胞の数を数えたところ、図3の結果が得られた。

グラフ

① B細胞は、抗原が存在しなくても抗体産生細胞に分化する。
② B細胞の抗体産生細胞への分化には、B細胞以外のリンパ球は関与しない。
③ B細胞を除いたリンパ球には、抗体産生細胞に分化する細胞が含まれる。
④ B細胞を除いたリンパ球には、B細胞を抗体産生細胞に分化させる細胞が含まれる。
⑤ B細胞を除いたリンパ球には、B細胞が抗体産生細胞に分化するのを妨げる細胞が含まれる。

問5の解答 ④   配点 3点

しんぞう先生

まず、抗体を作るリンパ球はB細胞です。当然ですが、B細胞が存在しない条件では抗体はできません
その上で、抗体ができる条件をグラフから読み取ると、B細胞と、B細胞を除いたリンパ球と抗原が揃っていなければ抗体は作られないことがわかります。

そうか、B細胞を除いたリンパ球には、ヘルパーT細胞を含むのですね。

かんぞうくん

 

第3問「バイオーム、炭素の循環、生態系とエネルギーの流れ、地球温暖化、大気中の二酸化炭素濃度の変化について」

A問1(バイオームごとの代表的な生産者)

問題
A 生態系では、光合成、呼吸、食物連鎖などの様々な過程をとおして(a)物質が循環し、この循環に伴い(b)エネルギーが移動している

生態系の代表的な生産者の種類はバイオームによって異なる。例えば、温帯のバイオームであるステップでは(ア)、暖温帯のバイオームである硬葉樹林では(イ)、熱帯・亜熱帯のバイオームである雨緑樹林では(ウ)が、代表的な生産者である。

問1 上の文章中の(ア)~(ウ)に入る語句として最も適当なものを、次の①~⑨のうちから一つずつ選べ。

①イネのなかま ②オリーブ ③サボテン類  ④タブノキ  ⑤地衣類  ⑥チーク  ⑦トドマツ  ⑧ヒルギ類    ⑨ブナ

問1の解答 ア・・・①    イ・・・②    ウ・・・⑥   
配点 完答3点

しんぞう先生

ステップは年降水量が少ないので、大きな樹木が成長できないよ。この選択肢の中では①のイネのなかま、だね。

硬葉樹林とくれば、②のオリーブですね。

かんぞうくん

しんぞう先生

樹林は⑥のチークです。チークは家具に使われることが多いよ。ちなみに、の字がついているので落葉するものが多いよ。

A問2(C[炭素]の循環)

問題
下線部(a)に関連して、図1は生体を構成するある主要な元素の生態系における移動を矢印で示したものである。図中の(エ)~(キ)に入る語と(ク)に入る矢印の向きの組合せとして最も適当なものを、下の①~⑧のうちから一つ選べ。

循環

循環の選択肢

問2の解答 ①   配点 3点

しんぞう先生

[ ]は生態系を構成する要素、( )は生物の活動、という注を見落とさないでね。これをきちんと把握しておくと選択肢から選びやすくなる。

これは炭素がどのように循環していくか、の図ですね。

かんぞうくん

A問3(エネルギーの循環)

問題
下線部(b)に関する記述として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。

① 熱エネルギーの一部は、生物によって化学エネルギーに変換される。
② 生態系内を流れるエネルギーは、最終的には熱エネルギーとなって生態系外へ出ていく。
③ 熱エネルギーの一部は、生物によって光エネルギーに変換される。
④ 植物は熱エネルギーを放出しない。

問3の解答 ②   配点 3点

しんぞう先生

①は熱エネルギーと化学エネルギーが反対だったらOK。
③は熱エネルギーと光エネルギーが反対だったらOK。
④植物も生きているから熱エネルギーを放出します。

B問4(温室効果ガス)

問題
大気中の二酸化炭素は、(ケ)や(コ)などとともに、温室効果ガスとよばれる。化石燃料の燃焼などの人間活動によって、図2のように大気中の二酸化炭素濃度は年々上昇を続けている。また、陸上植物の光合成による影響を受けるため、大気中の二酸化炭素濃度には、周期的な季節変動がみられる。図3のように、冷温帯に位置する岩手県の綾里の観測地点と、亜熱帯に位置する沖縄県の与那国島の観測地点とでは、二酸化炭素濃度の季節変動のパターンに違いがある。

問4 上の文章中の(ケ)・(コ)に入る語として適当なものを、次の①~⑦のうちから二つ選べ。ただし、解答の順序は問わない。

① アンモニア  ② エタノール  ③ 酸素  ④ 水素  ⑤ 窒素  ⑥ フロン  ⑦ メタン

問4の解答 ⑥と⑦   配点 各2点

しんぞう先生

各種メディアでは、温室効果ガスは二酸化炭素が主に言われているけど、フロン、メタンも温室効果ガスの一種です。

 

問5(大気中の二酸化炭素)

問題
次の文章は、図2・図3をふまえて、大気中の二酸化炭素の変化について考察したものである。(サ)~(ス)に入る語の組合せとして最も適当なものを、下の①~⑧のうちから一つ選べ。

2000年~2010年における大気中の二酸化炭素濃度の増加速度は、1960~1970年に比べて(サ)。また、亜熱帯の与那国島では、冷温帯の綾里に比べて、大気中の二酸化炭素濃度の季節変動が(シ)。このような季節変動の違いが生じる一因として、季節変動が大きい地域では、1年のうちで植物が光合成を行う期間が(ス)ことが挙げられる。

3ず2

3ず3

問5

問5の解答 ③   配点 3点

しんぞう先生

図2から。グラフの傾きを比較してみて。1960-1970と2000-2010では、どちらの傾きが大きい?

2000-2010です。近年、二酸化炭素排出量が増えていることが問題になっているけど、このグラフでも示されていますね。

かんぞうくん

しんぞう先生

図3を見ると、与那国島の方が綾里よりも二酸化炭素濃度の季節変動が小さいです。

綾里のバイオームは夏緑樹林。緑の字がついているから落葉します。夏緑樹林は冬に落葉するので光合成ができません。対する与那国島は落葉しないので、年中光合成をすることができます。

だから、綾里は大気中の二酸化炭素濃度の季節変動が大きいのですね。綾里は冬に落葉するから。年間を通じて見たとき、与那国島の植物と比べて、綾里は光合成をする期間が短いですもんね。

かんぞうくん

しんぞう先生

その通り。以上、で2020年のセンター試験は終わりです。第3問は、最近話題になっている環境問題から出題されていることが多いので、世の中の動きにも着目しておくことが大切ですね。