しんぞう先生
かんぞうくん
平均点は「32.65点」
出題内容について
第1問
生物の特徴、代謝、ミクロメーター、細胞構成成分、遺伝情報とDNA・タンパク質の合成・DNAの研究史
第2問
体液の濃度調節、ホルモン、免疫
第3問
バイオーム、炭素の循環、生態系とエネルギーの流れ、地球温暖化、大気中の二酸化炭素濃度の変化について
しんぞう先生
目次
第1問「生物の特徴、代謝、ミクロメーター、細胞構成成分、遺伝情報とDNA・タンパク質の合成・DNAの研究史」
A問1(光学顕微鏡で動物細胞を観察している時の会話文)
次の文章は、細胞の特徴を探求する活動の一環として、ある動物細胞を光学顕微鏡で観察しているホタルとヒカルの二人の会話である。
ホタル
色素を利用して(a)細胞小器官を染めて観察すると、実はミトコンドリアにもいろいろな形や大きさのものが見えるね。この細長いミトコンドリアのサイズはどのくらいだろう。
ヒカル
今使っている対物レンズと接眼レンズの組合せだと、(b)接眼ミクロメーターの20目盛りが対物ミクロメーターの50μmに相当しているね。細長いミトコンドリアは接眼ミクロメーターの2目盛りだけど、これはどのくらいの長さになるのかな。
二人は様々な細胞小器官を観察し続けた。
ホタル
拡大しても、細胞小器官の間は何もないように見えるけど、実際にはどうなっているんだろう。教科書の細胞の模式図でも、細胞小器官の間は何も描かれていないことが多いよね。水で満たされているのかな。
ヒカル
水だけではないはずだよ。私たちの観察条件では見えないだけで、エネルギー物質や(c)細胞を構成する様々な成分が含まれているはずだよ。
ホタル
きっと様々な化学反応が起きているんじゃないかな。細胞って、なんだかすごいね。
問1 下線部(a)に関連して、真核生物における細胞小器官に関する記述として誤っているものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
① 核には、DNAとタンパク質を主な構成成分とする染色体が含まれる。
② ミトコンドリアで行われる呼吸では、水がつくられる。
③ ミトコンドリアは、核とは異なる独自のDNAをもつ。
④ 葉緑体やミトコンドリアでは、ATPが合成される。
⑤ 葉緑体に含まれる主な色素は、アントシアン(アントシアニン)である。
問1の解答 ⑤ 配点 3点
しんぞう先生
かんぞうくん
しんぞう先生
①のタンパク質は「ヒストン」。
②呼吸で有機物を分解すると、水とCO2が生じる。
③大昔に、別の生物が細胞内に入ってきて共に生活するようになったものがミトコンドリアだ、と考えられている。なので、ミトコンドリアの内部には、細胞の核内にあるDNAとは別のDNAを持っている。だから細胞内で独自に分裂して増えることができる。
④葉緑体は光合成で、ミトコンドリアは呼吸で、それぞれATPを作る。
細かいけど、覚えていてね。
A問2(顕微鏡とミクロメーターの計算問題)
下線部(b)に関して、細長いミトコンドリアの長さの数値として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
① 2.5 ② 5 ③ 10 ④ 40
問2の解答 ② 配点 3点
しんぞう先生
接眼ミクロメーター(20目盛り):対物ミクロメーター(50μm)= 接眼ミクロメーター(1目盛り):対物ミクロメーター(x μm)
この比例式を次のように変形させる。「=」を挟んだ外側と外側、内側と内側をそれぞれ掛けわせて 「x」 を求めればいい。
20 x = 50
x = 50/20 = 2.5 μm
これで接眼ミクロメーター1目盛りの長さは、2.5 μm というのが分かった。
2目盛り× 2.5μm = 5μm
と計算するんですね。
かんぞうくん
A問3(動物細胞の構成成分)
① タンパク質 ② 炭水化物 ③ 核酸 ④ 無機塩類
問3の解答 ① 配点 3点
しんぞう先生
B問4(セントラルドグマ)
問4 次の文章は、上で説明した細菌M’の作製実験に関連した記述とその考察である。文章中の(ア)~(エ)に入る語として最も適当なものを、下の①~⑨のうちから一つずつ選べ。
遺伝情報はDNAからRNA,そしてタンパク質へと一方向に流れていくという考え方がある。この考え方を(ア)という。この考え方に従うと、1塩基対の誤りを含むDNAから(イ)されたRNAの塩基配列、さらにそこから(ウ)されたタンパク質のアミノ酸配列にも誤りが引き起こされたと考えられる。さらに詳しく調べたところ、この1塩基対の誤りを含んだ遺伝子がコードしているタンパク質は、DNAを鋳型にDNAを合成する(エ)を開始させるのに必要な酵素の一つであった。このため、100万塩基対中のたった1塩基対の誤りによってDNAの(エ)開始できず、細菌M’が増殖できなかったと考えられる。
① 複製 ② 翻訳 ③ 転写 ④ 遺伝 ⑤ 代謝 ⑥ セントラルドグマ
⑦ デオキシリボース ⑧ ゲノムプロジェクト ⑨ バクテリオファージ
問4の解答
ア・・・⑥ 配点 1点
イ・・・③ ウ・・・② エ・・・① 配点 完答 2点
しんぞう先生
核・・・金庫
DNA・・・タンパク質を作るための設計図[高価なもの]
mRNA・・・設計図のコピー[安い紙にコピーされたもの、破れやすいが大量生産されている]
リボソーム・・・タンパク質を作る工場
しんぞう先生
ということで、大量生産できる安い紙に設計図をコピーして、金庫から出してくる。【転写】
設計図のコピーをもとに、工場でタンパク質を作る。【翻訳】
かんぞうくん
B問5(塩基の相補性)

問5の解答
DNAの塩基配列・・・⑥ RNAの塩基配列・・・②
配点 完答3点
かんぞうくん
しんぞう先生
B問6(肺炎双球菌の問題)
肺炎双球菌(肺炎球菌)には病原性のS型菌と非病原性のR型菌がある。グリフィスは、R型菌と加熱殺菌したS型菌を混ぜてネズミに注射する実験を行った。すると、このネズミには病気の症状が現れ、その体内から生きた(オ)が見つかった。これは、死滅したS型菌の中の物質がR型菌の性質や特徴を変化させたために起こった現象であり、このような現象を(カ)という。また、エイブリーらは、S型菌の抽出液からタンパク質を分解させたものと、DNAを分解させたものとを作り、それぞれR型菌と混ぜて培養する実験を行った。この場合、(キ)を分解させた抽出液を用いた実験では(オ)の出現が確認されたが、(ク)を分解させた抽出液を用いた実験では確認されなかった。
問6の解答 ⑥ 配点 3点
かんぞうくん
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第2問「体液の濃度調節、ホルモン、免疫」
A問1(淡水魚と海水魚の体液の塩類濃度)
問1 下線部(a)に関連して、次の文章中の(ア)~(ウ)に入る語句の組合せとして最も適当なものを、下の①~⑥のうちから一つ選べ。
淡水魚の体液の塩類濃度は、尿の塩類濃度と比べると(ア)。海水魚の体液の塩類濃度は、尿の塩類濃度と比べると(イ)。したがって、淡水魚と海水魚の体液の塩類濃度がほぼ等しいことから、淡水魚の尿の塩類濃度は、海水魚の尿の塩類濃度と比べると(ウ)ことが分かる。

問1の解答 ⑤ 配点 3点
しんぞう先生
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「濃いものを薄めようとするはたらきがある」
海水魚の体液と、海水を比べると、海水のほうが塩分濃度が濃い。だから、海を薄めようとして体内から水分が出ていく。
かんぞうくん
しんぞう先生
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しんぞう先生
A問2(塩類の輸送)
エラにある塩基細胞とよばれる特殊な細胞は、(エ)が合成される場であるミトコンドリアを多くもち、そのエネルギーを利用して塩類の輸送を行っている。淡水魚の塩類細胞(以後、淡水型とよぶ)は、(オ)から(カ)への輸送を行い、海水魚の塩類細胞(以後、海水型とよぶ)は、(カ)から(オ)への輸送を行う。ある種の魚は、この淡水型と海水型の両方をもつ。例えば、サケは幼魚から成魚へと成長すると、塩類細胞は淡水型から海水型へと変わり、川から海へと生息環境を変える。このような淡水型から海水型への変化には、ヒトと同様に(キ)から放出される成長ホルモンが関わっている。
問2の解答 ⑦ 配点 3点
しんぞう先生
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A問3(コイとカレイが生存可能な外液の塩類濃度)
問3の解答 ⑥ 配点 3点
かんぞうくん
しんぞう先生
「ク」は、外液の塩類濃度が低い所でなら長期間生存可能だ、ということがグラフから読み取れる。
「ケ」は、「ク」と逆に塩類濃度が高い所なら長期間の生存が可能、ということから「ク」がコイで、「ケ」がカレイということがわかる。
かんぞうくん
しんぞう先生
かんぞうくん
B問4(細胞性免疫について)
問4 下線部(d)細胞性免疫に関連して、次の文章中の(コ)~(シ)に入る語句の組合せとして最も適当なものを、下の①~⑧のうちから一つ選べ。
体内に侵入した抗原は図2に示すように、免疫細胞Pに取り込まれて分解される。免疫細胞QおよびRは抗原の情報を受け取り活性化し、免疫細胞Qは別の免疫細胞Sの食作用を刺激して病原体を排除し、免疫細胞Rは感染細胞を直接排除する。免疫細胞の一部は記憶細胞となり、再び同じ抗原が体内に侵入すると急速で強い免疫応答が起きる。免疫細胞Pは(コ)であり、免疫細胞Qは(サ)である。免疫細胞P~Sのうち記憶細胞になるのは(シ)である。
図2
問4の解答 ⑧ 配点 4点
しんぞう先生
獲得免疫では、食作用で取り込んだ異物を体の中でバラバラにして、抗原の情報をT細胞に伝えます。また、B細胞も記憶細胞として残ります。
B問5(体液性免疫)
実験1 マウスからリンパ球を採取し、その一部をB細胞およびB細胞を除いたリンパ球に分離した。これらと抗原とを図3の培養の条件のように組み合わせて、それぞれに抗原提示細胞(抗原の情報リンパ球に提供する細胞)を加えた後、含まれるリンパ球の数が同じになるようにして、培養した。4日後に細胞を回収し、抗原に結合する抗体を産生している細胞の数を数えたところ、図3の結果が得られた。
① B細胞は、抗原が存在しなくても抗体産生細胞に分化する。
② B細胞の抗体産生細胞への分化には、B細胞以外のリンパ球は関与しない。
③ B細胞を除いたリンパ球には、抗体産生細胞に分化する細胞が含まれる。
④ B細胞を除いたリンパ球には、B細胞を抗体産生細胞に分化させる細胞が含まれる。
⑤ B細胞を除いたリンパ球には、B細胞が抗体産生細胞に分化するのを妨げる細胞が含まれる。
問5の解答 ④ 配点 3点
しんぞう先生
その上で、抗体ができる条件をグラフから読み取ると、B細胞と、B細胞を除いたリンパ球と抗原が揃っていなければ抗体は作られないことがわかります。
かんぞうくん
第3問「バイオーム、炭素の循環、生態系とエネルギーの流れ、地球温暖化、大気中の二酸化炭素濃度の変化について」
A問1(バイオームごとの代表的な生産者)
生態系の代表的な生産者の種類はバイオームによって異なる。例えば、温帯のバイオームであるステップでは(ア)、暖温帯のバイオームである硬葉樹林では(イ)、熱帯・亜熱帯のバイオームである雨緑樹林では(ウ)が、代表的な生産者である。
問1 上の文章中の(ア)~(ウ)に入る語句として最も適当なものを、次の①~⑨のうちから一つずつ選べ。
①イネのなかま ②オリーブ ③サボテン類 ④タブノキ ⑤地衣類 ⑥チーク ⑦トドマツ ⑧ヒルギ類 ⑨ブナ
問1の解答 ア・・・① イ・・・② ウ・・・⑥
配点 完答3点
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A問2(C[炭素]の循環)
問2の解答 ① 配点 3点
しんぞう先生
かんぞうくん
A問3(エネルギーの循環)
① 熱エネルギーの一部は、生物によって化学エネルギーに変換される。
② 生態系内を流れるエネルギーは、最終的には熱エネルギーとなって生態系外へ出ていく。
③ 熱エネルギーの一部は、生物によって光エネルギーに変換される。
④ 植物は熱エネルギーを放出しない。
問3の解答 ② 配点 3点
しんぞう先生
③は熱エネルギーと光エネルギーが反対だったらOK。
④植物も生きているから熱エネルギーを放出します。
B問4(温室効果ガス)
問4 上の文章中の(ケ)・(コ)に入る語として適当なものを、次の①~⑦のうちから二つ選べ。ただし、解答の順序は問わない。
① アンモニア ② エタノール ③ 酸素 ④ 水素 ⑤ 窒素 ⑥ フロン ⑦ メタン
問4の解答 ⑥と⑦ 配点 各2点
しんぞう先生
問5(大気中の二酸化炭素)
2000年~2010年における大気中の二酸化炭素濃度の増加速度は、1960~1970年に比べて(サ)。また、亜熱帯の与那国島では、冷温帯の綾里に比べて、大気中の二酸化炭素濃度の季節変動が(シ)。このような季節変動の違いが生じる一因として、季節変動が大きい地域では、1年のうちで植物が光合成を行う期間が(ス)ことが挙げられる。
問5の解答 ③ 配点 3点
しんぞう先生
かんぞうくん
しんぞう先生
綾里のバイオームは夏緑樹林。緑の字がついているから落葉します。夏緑樹林は冬に落葉するので光合成ができません。対する与那国島は落葉しないので、年中光合成をすることができます。
かんぞうくん
しんぞう先生